Gallery 展示4 公務員試験の作文 (事実と意見) (必勝のパターン) |
① 「公共のマナー」 ② 「友情」 ③ 「挑戦」 |
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(時間50分、字数800字 : 石川県、仙台市、他)
元旦の夜の九時ごろだった。電車の中は立っている人がちらほらいる程度で、ゆったり座れた。私の向かいには若い夫婦が二、三歳の女の子を間にして座っていた。女の子は眠そうな様子で母親に寄りかかっていたが、急に顔をしかめて座席を滑り降り、向こう向きに座席に手をついた。夫婦は少しあわてた格好で同時に女の子の肩に手を添えた。吐いたらしい。母親が立ちあがって女の子を後ろ向きに抱いた。座席から白く粘っこいものがかなり大量に床に垂れていた。甘酸っぱい臭いが漂ってきそうだった。終電近くになると、酒の腐ったような臭いのすることがある。それを思い出して、いやだなと思った。三人の親子は次の駅で降りるのだろうと思った。暖房がききすぎている感じもあったので、子どものために当然そうするだろうと思った。ところが、父親は網棚から読み捨てられた新聞を持ってきて、吐いたものをふき取り始めた。まず座席の上にかぶせて削ぐように落とし、そのまま新聞を床の上にかぶせて包み込むようにしてふき取っている。電車が揺れるからか、床に片膝をついて二度、三度とそれを繰り返した。そして、それを丸めて、もう一枚の新聞紙にくるんだ。床はすっかりきれいになった。父親は立膝のまま、今度はポケットからティッシュペーパーを取り出して座席にあてがい、布をつまむようにしてふいている。最後の一枚を座席に乗せて、こぶしで軽くトントンとたたき、その紙でまた床をふいて、作業は終わった。夫婦はだれにともなく頭を下げて、次の駅で降りた。 |
意見や主張を述べるに当たって大切なのは
根拠を示すこと、事実を踏まえることです。
この答案で注目したいのは、
「事実」に比べて「意見」〈感想)が少し添えられているだけである
ということです。
それでいて説得力があるのは、
事実が、見たままに克明に書かれているからでしょう。
もう一つ注目したいのは、
「公共のマナー」という言葉が見られないのに、それが伝わってくること
です。
「事実は物語る」というところでしょうか。
筆者は警察官を希望の大学3年生です。
(時間60分、字数800〜1000 : 兵庫県、他十数県)
中学三年のとき、決闘を申し込まれたことがあった。といっては、少し大げさだが、あの時はそんな感じだった。相手は番長だった。授業が終わったら、神社の森へ来いという。部活の帰りにラーメン屋に誘われたのを断ったのが気に食わなかったらしい。彼は柔道をやっていて、体が大きかった。いつも2〜3万円持っていて、よくコンビニやラーメン屋に寄って、だれかれとなくスナックをおごっていた。そのせいか、子分が多かった。私はサッカーをやっていたが、帰りに門の所でたまたま呼び止められたのだった。 |
これも、出来事の描写が主で、
意見(感想)は末尾に2行添えられているだけです。
筆者は、公務員を希望の高卒生です。
「友情とは、……」と、定義などしようとしてはいけません。
理屈をこねると、行き詰まってしまいます。
また、そんなものに、
読んでおもしろいものはほとんどありません。
大切なのは、事実を踏まえることです。
経験の中で材料を探すこと、
これがコツです。
もう一つ、ユニーク極まる答案を
紹介しましょう。
(時間60分、字数800〜1000字 : 北海道、他十数県)
動いた、ついに動いたのだ。 |
一見ふざけた内容のようですが、
結論によって全体が引き締められています。
筆者は、公務員を目指す専門学校の2年生です。